9月9日 重陽祭

「重陽祭」

「豊歳五節句遊・重陽の節句」歌川国貞。 画像提供:国立国会図書館web

重九
 重陽とは重九ともよばれ、陽数の九が重なる最大数の良き日と言われています。日本に残る記録では「日本書紀」に、685年9月9日に重陽の宴をしたと残っており、平安時代になると重陽の節供は宮中行事として慣例化していきました。重陽と言えば菊がすぐに思い起こされますが、菊は健康に効く薬花として大変重宝されていたようです。中国ではこの日は陽が極まって、逆に陰を生ずる日として、厄除けの行事が行われ、「翁草(おきなくさ)」「千代見草(ちよみくさ)」などと呼び食用にも使われました。

 

菊合(きくあわせ)
 平安時代の中期からは、重陽の日に菊の花の出来映えを競い合う行事「菊合(きくあわせ)」が貴族の間で流行します。当初は単純に庭の菊を観賞して楽しんでいただけのものでしたが、現在の「菊花展」のように菊の美しさを競う品評会を催したり、菊を題材にした和歌を詠み合い競ったりといった色々な風習が生まれ根付き、現在でも「菊花展」として十月頃から日本全国各地でおこなわれ、菊に親しむ文化となっています。

「百種接分菊」一勇斎国芳 画像提供:国立国会図書館web:https://www.ndl.go.jp

菊の被綿(きせわた)
重陽の前日に菊の花に真綿を被せ、一晩、綿に菊の香りと朝露を染み込ませ、翌朝この菊の露を含んだ綿で顔や手肌を拭き、菊の薬効で健康長寿を願ったのが「菊の被綿」です。綿は色付で、赤い菊に白い綿、白い菊に黄色、黄色い菊に赤色の綿を被せます。宮中でも行われていたこの「菊の被綿」の習慣ですが、旧暦から新暦に移行した時期から、季節的に開花の時期にまだ早いということもあって、徐々に記録にお目見えしなくなっていきます。

『菊の着せ綿の風景』絵本都草紙(江戸時代後期) 『日本古典籍データセット』(国文研等所蔵) 画像提供:人文学オープンデータ共同利用センター

菊風呂
季節湯として湯船に菊を浮かべ、菊の花に含まれる精油成分のカンフェンで疲れを癒します。菊湯は皮膚を刺激し、血行促進、腰痛、肩こり、筋肉痛などの体の痛みを緩和すると言われています。その上、保温効果も大変高く新陳代謝も活発にしてくれるので、夏の終わりのこの季節、疲れた体を癒すためにとても優れたお湯と言われています。菊湯に使われる菊はリュウノウギクですが、入手が難しいので食用菊や菊花茶をご使用いただいても良いでしょう。

菊花酒
かつて宮中では「菊の宴」が重陽の節供として、大変盛り上がりを見せていました。菊を鑑賞する文化は今も根強く人気があるのに対して、重陽の節供には食べ物の設えが他の節供と比べあまり目立ったものがありません。それでも重陽の節供を代表する行事食として伝え引き継がれてきたものに「菊花酒」「栗飯」があります。平安時代、宮中での菊の宴には、酒の盃に菊の花を浮かべ、菊の爽やかな香りと薬効を味わう「菊花酒」がもてなされました。

栗と茄子
重陽の節供は「菊の節供」ですが、別名「栗の節供」とも言われ親しまれてきました。農村ではこの時期、作物収穫の繁忙期なので「栗飯」を炊いて節供を祝いました。単純に栗を混ぜて炊くだけでなく、赤飯に栗を入れる地域などもあるようです。東京では焼き栗、煮しめに栗を入れて戴いたり、重陽のお祝いに栗を進物にもしました。また「くんち(九日)に茄子を食べると中風にならない」と言われ、茄子の煮びたしや焼き茄子で無病息災を願う風習も残っています。

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